表あれば裏あり。光あれば影あり。
以前書いた、俺のコメント
智に貴賤なし。挑戦者を嘲うな。比べずに克て。俺はただ語るのみ。何も導かぬ。この縁に集う我等が己の良き名将であらんことを。
リーダー就任時に書いた「俺の運営原理」ともいえる60文字。長文かつ冗長な俺が、本来の意図を曲げずに可能な限り努力を尽くして削りに削った表現だ。
これが、表詠(おもてよみ)。
表詠とは造語である。そのまま取ってもらってほしい言葉である。
そして、表詠と書いたからには、裏詠(うらよみ)もある。原理原則をスローガン調で語る時、俺は必ずこれを意識している。もちろん、裏詠も俺の造語である。
「書いたとおりの言葉は俺の素直な願い。真逆にすれば、俺の忌み嫌うものを表す」
剣盾、その役は違えど玉鋼はひとつ。それは俺の意思に応じて姿を変える。
なかなかうまく纏まらなかったが、裏詠がうまくまとまったのでここに記す。
「もらうだけ」の者ならば、ここにいることを許さない。
止まぬ雨はなし。横に並び寄れ。恃むべからず。我利を追い貢献を惜しみ禄を食むのみを望む者は名将が織りなす傘を享受するまじ。
(真意)
これまでがダメでもその後もダメとは限らないのだ、傷を癒し何度でも立ち上がれ。
たとえ役職、新参、古参が明確であろうとも、それはあくまでもこのゲームの中だけの話。人間として向き合う上では俺達に上下はないのだから、遠慮する理由がどこにあるのだろうか。
しかし、他人に依存してしがみつく事はするな。君ができることを出し惜しみして、ただ権利を享受するのみに甘んじることを許してしまえば、そのために多くの大人をいけにえにしなければならない。これは、サークルにとっての死活問題である。
もし君ができることを為さずにサークルに所属する恩恵を貪るだけならば、俺は一切のためらいなく君を追放する。たとえ自らの目的のために楽しみつつサークル発展に貢献もしてくれる人財や理解者がそれに異議を唱えることがあっても、それに落胆する方がいたとしても、俺は「優しさと易しさを混同するな」と諭すだろう。
熟考せよ。決して間違えるな。人財を大事にすることとは、サークルメンバー全員を後生大事に残すことではないのだ。
カネミツは仁の人ではない
様々な緩和策を取ってきたから、俺の第一印象が「優しい人」と思っている方もいらっしゃるかもしれない。実際そうなのかもしれないし、そうありたいからそのように振舞ってきた、そうなろうとするために積み上げようとしているものでもある。この辺りは、先代追放劇をいまだに引きずっている。
しかし、優しいだけでは良きリーダーとはいえない。斬るべきは斬らねばならぬ。律すべきは律さなければならぬ。通すべきは通さねばならぬ。そのためにも、多くの物差しを巧みに扱い、様々な角度から物事を見て考えて、名将の持つ最高の強みを見極めなければならない。それで嫌われるというならば、仕方がないだろう。俺と相性が悪いだけなのだから。
少なくとも、Cランク以上のサークルは1万あるのだ。8月の数値だけでいえばここ以上の順位を獲得した団体は3500近く。ここより稼ぎも待遇もいいサークルは山ほどあるだろう。俺より善政を敷き采配に長けたリーダーがいないなど、口が裂けても言えるはずがない。
俺は俺でやりたいことがあるのだ。メンバーを無理に縛り付けないということは、俺自身も無理をしないということだ。なぜなら、俺もこのサークルのメンバーのひとりだからだ。俺が立てた原理原則を守れずして、いったい誰がそれを守ろうというのか?
テイカーは滅ぼす
そこに甘えてか、箸にも棒にも掛からない人が出てしまった。チーム競技場1回走らせただけで、ちょっと数字を動かすだけで、月末にスタンプひとつ押した程度で俺が手心加えるとでも思ったのか?
ぬるい。
なぜ酔っ払いひとり騙すことができなかったのだ。カンやえこひいきで人を見ているわけではないと、なぜわからなかったのだ。俺の考えを積極的に語り、数字も見ていると少しずつ明かしていたのに、なぜ危機感を持たなかったのだ。
もらうだけしか考えていない者を残す理由はない。最後にBランク報酬を受け取るまで待ってやっただけありがたいと思ってもらいたいものだ。これでも、6時ごろに切るか散々迷ったんだからな。
さようなら。かつてその背中を追った者よ。